「キャリアパス」の幻想を抜けて、自分だけの道を進んでいこう。

小道

「キャリアパス」という理想のルート

「キャリアパス」という言葉を初めて知ったのは、いつのことだろう。
会社のリクルーティング・サイトの制作を任された時かも知れない。僕は中途採用で入ったので、広告代理店各社が、優秀な人材確保のためにあれほど激烈な採用競争をしていることは全く知らなかった。「採用戦略」なんて言葉まであったりしてね。
就活生に興味を持ってもらうためには、会社の標準的な「キャリアパス」とやらを示す必要があるらしく。当社の社員は、新人はこのような配属があってキャリアを積んでいくと、こんな仕事が任せてもらえるようになり、役職を得て、さらにがんばると偉くなっていくんだよ。みたいな「キャリアパス」が感じられるように、登場する社員を選んで、やりがいや体験談を彼らに語ってもらった。
僕がそのサイトを任された2年間から、もう10年以上がたった。あの時に入社した新卒生たちはどうしてるだろう。今にして思えば、その「キャリアパス」とやらも、ずいぶん様変わりしたことに驚かされるこれど。

「キャリアパス」って幻想?

社員のキャリアに「標準コース」なんてものはあり得ないことは入社してみれば、すぐにわかるとしても、いつのまにか役職のポストが減ってしまっていたり、めざす部門が縮小されてしまったり、下手をすると無くなってしまったり、別会社になったり…。定年まで会社に40年近く在職するとすれば当然ながら環境は激変するわけで、「キャリアパス」として会社が示していたものは、悪気は無くとも、絵に描いたモチだったんですよね(笑)

「役職定年」の衝撃

「キャリアパス」の変化の中で、僕がいちばん、こりゃすげーな、と思わせたのは「役職定年」なるものでした。能力、実績のいかんに関わらず、後進に道をゆずるため規定の年齢に達すると役職を退かせる…。確かにポストが減っちゃったわけだから、仕方が無いのかもしれないけど、ものすごくがんばって部長とか局長になっても、その年令に達すると日付が変われば、「スーパーバイザー」とか「担当部長」てな名前になって「部下無し」の処遇になってしまうらしい。僕には縁遠い話でしたけど、当時聞いた時は「マジか…」と思いました。だって定年の前にですよ! まだまだバリバリ働けるさなかに役職をはずすって酷ですよねー。

フリーなら、なおさら見当たらない「キャリアパス」

めざすべき「キャリアパス」が無いのって、会社員だけの話じゃないですよね。
僕などは会社の「キャリアパス」の枝分かれで、「フリーランス」という細道に分け入って、先の見えない道を一人てくてく歩いてますが(笑)、それにしたって、一昔前の先人たちの道とは様相がかなり違う。
「一般的」やら、「平均的」やらなんて無いんですよねー。いやいや、まったく。ときどきコピーライター同士で話を聞かせてもらうこともありますが、必ずしも参考になるとは限らない。そりゃ、それぞれが歩んできた道も、能力も、実績も違いますからねぇ^^;

全員が特殊ケースなのだ

そこで思い出すのが、『平均思考は捨てなさい』という本の中で、すごく印象に残ったこの言葉。
「私たちは全員が特殊ケースなのだ」
僕らは誰ひとり、「平均像」になんて当てはまらない。
キャリアの道も、自分に合った道を見つけ出して、進んでいくしかない。「ロールモデル」の後姿を見ながらでも、ルートは違えたほうがいいこともある。

僕は50代。「100歳まで生きる」と言われる時代。まだ道半ば(笑)
50代の「キャリアパス」の小道をどう抜けていき、60代でどこへたどり着くのか。そして、その先はどうなる? どうする?
相変わらずドキドキものですが(笑)、ワクワクできるほうの道を選びながら、光の射してる方へ向かっていきたいと思います。

「標準」とか、「平均」なんてものに道を迷わされることなく。
僕は、僕だけの「キャリアパス」を。
あなたは、あなただけの「キャリアパス」を。
さ、歩いて行くとしましょう^_^

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