文章力養成コーチ・松嶋有香さん 第8話 「仕事に復帰したい!教えたい!」

文章力養成コーチ・松嶋有香さん

あっちだ!っていう光が見えてきた。


001 松嶋有香 さん

文章力養成コーチ・文章コンサルタント
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第8話「仕事に復帰したい!教えたい!」

出産を機に専業主婦となり、母親としての日々を楽しみ始める松嶋さん。
その日常はやっぱり行動的で、リーダーシップをとって、ママ友たちといろんなことをやっていくのでした。
そんな中、あるテレビ番組がきっかけとなって、ついに再び新たな展開が…。

さんぽ屋:6年間専業主婦だったのって、お子さんの身体が弱かったと聞いてるけど、それでそういう選択をしたの?

松嶋:ううん、あんまり考えてなかった。自分の仕事ことは、どうでもよかったんですよね。

さんぽ屋:へー、当時はそうなんだ。

松嶋:ダンナの転勤も4年間に1年ごとにあって、シカゴからドイツ、ロンドン2カ所って転校してるんで、「振り回されてたいへんだったでしょ?」ってよく言われるけど、私はすごく楽しかったの。次の外国、次の外国って。
妊娠も楽しかったし、出産もすごく良かったし、育児も楽しかった。別に仕事に戻らなくても良かったし。まあ、うちのダンナに余裕があったからかもしれないけど。仕事に戻らなくていいんだったら、この子との暮らしを楽しみたいわって思ってた。
ただ、急に仕事を辞めたから、いきなり子どもと2人だけになった時はちょっとつらかったな。ダンナは夜まで帰ってこないし。

さんぽ屋: 社会から断絶されちゃう感じで。

松嶋:でもまあ、やることはいっぱいあったし、おむつ替えたりとかして楽しかったけどね。それに、子どもが幼稚園に入る前に、育児クラブみたいなのに入ったんですよ。そこで、また本領発揮じゃないですけどリーダーシップをとって。

さんぽ屋:それって、海外で?

松嶋:もう日本に帰ってきてました。息子が2歳の時に帰ってきたんですよ。
そのクラブは市営のサークルで児童館が運営していて、「何月生まれ誕生会」とかやってるんだけど、それ以外にもいろんなことができるんじゃないかということで、「もぐら会」というのを作りまして。「もぐら」っていう飲み屋があって、そこで母親同士、子連れで飲んだのがきっかけになったので「もぐら会」(笑)

さんぽ屋:飲み屋の名前って(笑)

松嶋:ふふふ(笑) 子連れでも飲めるんじゃないって話しになって、お酒が好きなお母さんたち何人かで、お互いの家でちょっとだけ飲む会を始めたの。夕方から集まって、子どもたちを遊ばせつつ、みんなで夕飯の支度をして、みんなで食べて飲んで、夜8時位に解散する夕食会。
1年間その活動を通じて、主要メンバーとしていろいろやったんですよ。下の子もいると出不精になっちゃうお母さんもいたんで、公園までみんなで一緒に行って外でごはん食べよう!とか。引っ込み思案な人も中にはいるので、そういうお母さんたちにも積極的に声をかけて、日曜日にパパ同士も会わせて、みんなでホームパーティーをやったり。その頃はパーティーばっかりやってたな(笑)

さんぽ屋:やっぱりリーダーシップをとって、いろいろやってたんだ…。

松嶋:そうそう。

さんぽ屋:で、現在のオンラインによる国語塾は、息子さんが小学校に上がってから起業するんですか?

松嶋:そうです。子どもが幼稚園の時に、「にほんごであそぼ」っていうNHKの番組にハマって「にほんごであそぼ ふぁんさいと」っていうファンサイトを作ったんですよ。16年ぐらい前かな。
ホームページなんてどうやって作ればいいか全然わからないのでネットで調べたら、どうやらWordで作ったものをサーバーにアップロードすると、そのWordのページが見られるっぽい。

さんぽ屋:そうなの?

松嶋: そうなの。ここに文字大きく入れて、ここを赤くして、ここには表を入れて、みたいなのをWordで作って、それをHTMLに変換してサーバーに上げるとホームページとして見える。「ああ、なるほど、そういう仕組か」とわかったので自分でサイトを作ってみました。
最初は失敗ばっかりだったけど、だんだんできるようになって。それから半年くらいして、ホームページ制作ソフトの存在に気がついた(笑)。それからは、それで作るようになりました。
とにかく「にほんごであそぼ」の、あの世界にどっぷりハマってました。それで、こういう昔からの日本語の教育をちゃんとやらないと!って思うようになって…。

さんぽ屋:ゆかさんにとって、「にほんごであそぼ」にハマったのって大きそうですね。

松嶋:大きかった! 子ども向けに古典とか、ドリルじゃなくて「かるた」とか、そういう世界。それこそ「百人一首」が出てきたり。そういうものを子どもたちにやらせたいなぁと思ったら、「仕事に復帰したい!教えたい!」ってなりました。

さんぽ屋:そうかぁ…。

松嶋:最初は「くもん」を考えたんですよ。ただ「くもん」は教室を開かなければいけないので、自宅でやるか場所を借りなくちゃいけない。だけど、うちは子どもが病気がちだし、ダンナも人が来るのがあんまり好きじゃない。お金もそんなにはかけたくはない。じゃあどうしようっていう時に、ふだんインターネットを使ってることを思い出して、これで授業できるんじゃないかなと思ったの。

さんぽ屋:その当時に、オンラインの授業? すごく早いでしょ!

松嶋:早かったですよ。まだFAXが生きてる時代だから、FAXとネットをうまく融合させたら、答案の受信もできるんじゃないかと思って。
とりあえず「にほんごであそぼ」のファンサイトで「授業やりまーす!」って呼びかけたら、いきなり7人が手を挙げてくれたの。

さんぽ屋:そうすると、最初から日本全国展開になっちゃうの?

松嶋:はい。

さんぽ屋:すごいな…。

松嶋:でも2年目からは、海外の方が多くなってきたの。

さんぽ屋:海外にも展開って、さらにすごくないですか、ビジネスモデルとしては(笑)

松嶋:ダンナがね、「特許取れ」って言ったんですよ。でも私、「取るなら、あなたが取ってくださいよ。そんなのよくわかんないし、めんどくさいし。私、とにかく始めるよ。1年生から6年生まで教材を今から作るからね!」って言って、息子の看病もしながら授業を始めたの。

さんぽ屋:その頃は、看病しながらやる感じだったんだ。

松嶋:そうそう。息子は、喘息だったんですよ。でも年中さんの時に手術をしたら、だんだん体調が良くなってきて。体質が改善されて、症状がひどくなることも少なくなって。

さんぽ屋:だから、そういうこともできるようになったんだ。

松嶋:そう。息子も小学校に入ったら、かなり元気になって外にあずける時間も長くなったの。それで、自分で教材作って、自分で発送してってやっていったの。

さんぽ屋:添削みたいな授業なんですか?

松嶋:添削を中心にした通信教育ですね。
月曜日から木曜日までは、日本の名作、漢字や知識。これをなぞったり、写したり、聴き取ったりして、書きまくる教材です。金曜日だけは言葉のパズルや作文で、生徒たちはそれをFAXで送ってくるので、私が添削して、サイトにアップして。自分の答案や仲間の答案をみんなで見る形式です。
起業当時は教材は全て自宅で印刷し、郵送していました。海外生にもです。すごく手間がかかりました(笑)
今も、教材は時々改善していますが、内容は基本的に変わってない。郵送がなくなりましたけど。教材はpdf化しましたし、お母さん方が子どもの答案を送ってくるのも、タブレットからが主流ですね。

さんぽ屋:そういうやり方なんだ。当時は、まだ人数も少なかったんでしょ?

松嶋:そうですね。最初は7人で、次の年に14人。7人ずつ増えていく感じ。受講生の学年が増えていくので。

さんぽ屋:じゃあ、子どもが毎年進級するにつれて、次の学年の教材を作っていったの?

松嶋:ううん。最初の2年間で6年間分を作っちゃったんです。

さんぽ屋:え、作っちゃったの?

松嶋:「何年生でも来い!」みたいな感じで(笑)
最初は1年生コースしか授業をしてなかったんだけど、「3年生のお姉ちゃんもいるんだけど」とか「4年生のお兄ちゃんもいて」って相談がいろいろ来たの。その子たちには個人的に授業をやりつつ、どうせならもう全部作っちゃえということで一緒に作っちゃったんですよ。だから2年ぐらいで全学年分できたんです。

さんぽ屋:はーー。

(つづく)

ロックミュージシャンから専業主婦としての子育てを経て、いよいよ現在の教育者としての姿へ。
変貌を遂げていく中で、いくつもの体験や気づきがあって“今”があるのですね。
それにしても「やる!」って決めた時の松嶋さんの行動は、やっぱり速くて、まっしぐら!
第9話

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