文章力養成コーチ・松嶋有香さん 第6話 「そこに、ダンナ登場ですよ」

文章力養成コーチ・松嶋有香さん

あっちだ!っていう光が見えてきた。


001 松嶋有香 さん

文章力養成コーチ・文章コンサルタント
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第6話「そこに、ダンナ登場ですよ」

スターバックスに場所を移して、珈琲を飲みながらインタビュー再開。
話は、まだまだ20代半ばのこと。松嶋さんの人生はこの先、どうなる?
やっと運命のバンドに入り、ギタリストとしての本格的な活動が始まった…。

松嶋:自分で振り返っても、ほんと面白い人生だと思いますよ。

さんぽ屋:だろうねー。さて、バンドに入りました。それはハードロックのバンド?

松嶋:そうですね。

さんぽ屋:もう24、5歳にはなってるんでしょ?

松嶋:なってますね。

さんぽ屋:まだ本気でガンガン、ミュージシャンを目指してたんでしょ?

松嶋:そうそう。みんな働いてたけど週に2回練習をして、月に時々ライブをして。

さんぽ屋:ライブ自体は、そんなに多くないんだ。

松嶋:ライブの機会が無いバンドは、ほんと無いんですよ。でも、うちのバンドは恵まれていたから。

さんぽ屋:場って、そんなに与えてもらえないの?

松嶋:昔は、そうですね。今はもうちょっと環境が整っているから違うかもしれないけど。

さんぽ屋:活動って、バーとかライブハウスとか?

松嶋:ライブハウスです。ちゃんとした大きなライブハウスだと審査があって。

さんぽ屋:オーディションってこと?

松嶋:そうそう。応募して通るとマンスリーバンドってことです。その地位まで行けるバンドは、そんなにはいなくて。

さんぽ屋:あ、そうなんだ。

松嶋:たいへんなんですよ。

さんぽ屋:そういう感じなんだ。ライブには知り合いみたいな人が来るんですか?

松嶋:ファンの人ですよ(笑)

さんぽ屋:あ、ごめん(笑)

松嶋:お友だちとかじゃなくて、ファン。一応チケットの最低ノルマはあるんで、友だち同士でチケット交換もしましたけど。

さんぽ屋:そうか、だからアマチュアなんだろうけど、活動としては…。

松嶋:セミプロみたいな感じですかね。

さんぽ屋:ああ、セミプロですね。稼ぐために別の仕事もしてても。

松嶋:当時、これじゃとっても食べていけないぞと思って、居酒屋のバイトとかも考えたんですけど。そうだ、私には教育免許があるじゃないかと。

さんぽ屋:え? それまでは教育系以外のバイトをしてたの?

松嶋:大学の時、家庭教師はしてました。家庭教師は、中学生の時からやってるんですよ。勉強ができたので、「うちの子を見てくれないかな」っていう相談が親のところにくるの。それで、中学生の時から家庭教師のアルバイトをやってました。

さんぽ屋:中学生から…。それなのに、東京では教育系のバイトをしようとは思わなかったんだ。

松嶋:思わなかったんですよね、教育はもういいやと思って。
むしろライブハウスでバイトできたらいいのになと思って。でも、「ライブハウスでバイトするとライブに出る時間が無くなるよ」って言われたんです。そりゃそうですよね、ライブの時間と重なってるわけだから。それじゃダメだな、と思って。
食べていけないなってなった時に、「そうだ、教育免許があるじゃないか。これで稼げないかな」と思ってやってみたら、やっぱり稼げる。教育系の仕事は、時給が高いんですよね。例えば居酒屋だと当時の時給が750円ぐらいだったんですけど、教育系だと2000円とかですよ。家庭教師だったらね。

さんぽ屋:じゃあ、家庭教師をやったってこと?

松嶋:家庭教師もやりましたけど、主に塾で教材を作る仕事とか。教務事務ですね。会計とか受付の事務じゃなくて、「教務」って言って、先生たちのサポートをする仕事です。雑用だけど教務関係。テストのこれを見直してくれとか、赤を入れたとこが直ってるかチェックしてとか、先生方の注文に対応する。教材を入力したり、採点したり、試験監督とか、ありとあらゆるサポートをしてました。

さんぽ屋:それが昼間の仕事?

松嶋:昼間って言ってもね、塾って午後1時始まりなんですよ。メインが夕方5時からなので、午後1時始まりの夜9時まで。

さんぽ屋:夜も働いてるんだ。

松嶋:そう。子どもたちは学校が終わってから来るので、むしろ5時からがメイン。授業はだいたい小学生が7時半まで、中学生が7時半から9時までって感じでしたね。

さんぽ屋:そうすると練習は午前中?

松嶋:ううん、夜。みんな夜遅い仕事をしてるから。夜の7時とか9時からスタジオに入って練習。で、練習のない日は2つ目のバイトをそこから始めたりして。

さんぽ屋:そんな感じなんだ。

松嶋:いまバンドを続けている人も、そんな感じですよ。

さんぽ屋:へーーー。そういう生活になるんだ。

松嶋:例えばファンが100人、200人ついて、ライブハウスがゲストとして呼んでくれるような立場になったらギャラがもらえるわけですよ。

さんぽ屋:その場合はセミプロっていうより、デビューしてないけどプロ?

松嶋:プロってお金を取っている人ってことだけど、結局メジャーデビューしてるかどうかなんですよね。いまはCDとか作れちゃうし。

さんぽ屋:そうかそうか。よくわからないんだけど、インディーズ系というようなやつ?

松嶋:なんだろうね、そこらへんの境目って…。

さんぽ屋: 話を戻すと、ライブに出られるレベルまできたんですよね。その状態は何年続くの?

松嶋:28歳ぐらいまですね。

さんぽ屋:じゃあ、3年ぐらい?

松嶋:うん。

さんぽ屋:そこからは?

松嶋:バンドが解散したんですよ。

さんぽ屋:あ、解散しちゃうんだ。

松嶋:うん。そして、あーあ…となって…。

さんぽ屋:なんでバンドは解散したの? やっぱり方向性の違い?

松嶋:そうですね。私のバンド、ツインギターだったんですけど、まず相方のギターが抜けて、ボーカルが「やめる」って言って。じゃあ、って感じでドラムとベースがセットで抜けて…。私はその頃は、実はポップスが好きになりかけていて。

さんぽ屋:え、ポップス? やってたのは、ハードロックバンドでしょ?

松嶋:そうだったんだけど、歌謡曲の曲作りって面白いなと思い始めてて。ポップスもいいなと思っていたら、ある女の子に「ポップスやらない?」って誘われて、「あ、いいよ」って言って。

さんぽ屋:あらま(笑)

松嶋:でも結局、その子とは半年ぐらいしか続かなかった。ライブもやらなかったな。レコーディングはしたんですけどね。でもそのCD、どっかいっちゃった(笑)

さんぽ屋:へー。そんなこともやってたんだ。で、それがうまくいきませんでした、となって?

松嶋:ってところに、ダンナ登場ですよ。

さんぽ屋:ダンナ登場!?

(つづく)

バンドが解散して、ふたたび放浪が続くのかと思いきや、いきなりダンナ登場!?
って、どんな展開になるのでしょうか…。意外な展開は、またしてもある??
第7話

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